
インターネットでブランド品として販売されているネックレスを購入したものの、「刻印どおりの素材なのだろうか」と不安になることがあります。
品物に「Au750」の刻印が入っていても、それだけでブランドの真贋まで確認できるわけではありません。一方で、ブランドの真贋とは切り分けて、刻印が示す品位と実際の金属組成が整合しているかを調べることはできます。
この記事では、インターネットで購入した「Au750」刻印のネックレスについて、X線分析で金属組成を確認し、分析報告書を発行したご相談をご紹介します。
今回のお客様は、購入後にブランド品としての真贋を証明する資料を入手することが難しく、まず「Au750」刻印と実際の金属組成が整合しているかを確認したいとのことで、当ラボへご相談くださいました。
「Au750」刻印が示すのは金の品位です

「Au750」は、品物に含まれる金の割合を1000分率で表した刻印です。
750であれば、金が75%相当であることを示し、日本で使われる「K18」と同じ品位にあたります。
ただし、刻印が示しているのは、あくまで素材の品位です。どのブランドが製造したものなのか、そのブランドの正規品なのかを示すものではありません。
また、「Au750」の刻印が入っていることと、実際に金が75%相当含まれていることも、同じではありません。
刻印と実際の金属組成が整合しているかどうかは、現物を測定して確認する必要があります。
ブランドの真贋と金属組成は分けて確認します

今回のご相談では、ブランドの真贋と、「Au750」刻印に対する金属組成の確認を分けて考える必要がありました。
X線分析によって金75%相当の組成が確認されたとしても、それだけでブランドの正規品であることが証明されるわけではありません。
反対に、刻印と異なる組成が確認された場合も、X線分析だけで製造元や販売者の意図まで判断することはできません。
当ラボがお引き受けするのは、ブランドの真贋判定ではなく、刻印の表示と測定結果を客観的に照らし合わせることです。
今回も、ブランドの真贋とは切り分けて、「Au750」=金75%相当という刻印の表示と、実際の組成が整合しているかを確認するご依頼として分析をお受けしました。
X線分析で確認できる範囲
当ラボのX線分析で確認できるのは、測定箇所の表面付近から得られる元素組成です。
測定した部分から、金・銀・銅など、どの元素がどの程度検出されたのかを数値で確認します。
一方で、測定結果は品物全体のブランドや製造元を特定するものではありません。また、分析した箇所以外のすべてが同じ組成であると証明するものでもありません。
分析報告書を確認する際も、「何を測定した結果なのか」と「その結果からどこまで分かるのか」を分けて受け取ることが大切です。
ネックレスの測定箇所と分析結果

SPECTRO SCOUTを用い、①Au750刻印のあるプレート、②引き輪、③チェーン、④ペンダントトップの計4箇所を測定しました。測定箇所の表面付近では、いずれも銅(Cu)が主成分で、亜鉛(Zn)などが検出されました。
主な測定結果は、刻印プレートがCu 90.03%・Zn 7.37%・Ag 2.012%、引き輪がCu 83.47%・Zn 14.43%・Ag 1.407%、チェーンがCu 90.01%・Zn 4.676%・Ni 2.850%、ペンダントトップがCu 93.84%・Zn 3.361%・Ni 1.465%でした。
4箇所すべてで金(Au)は検出下限未満(0.020%未満)でした。少なくとも今回測定した箇所では、Au750(K18)に相当する金含有量は確認されませんでした。なお、X線分析は測定箇所の表面付近の結果であり、品物全体の内部組成やブランドの真贋を証明するものではありません。
分析報告書の発行

今回は、測定結果を記載した分析報告書を発行しました。
ただし、分析報告書は測定によって得られた結果を記録する資料であり、取引の結果をお約束するものではありません。
分析報告書の一般的な位置づけについては、「ヤフオク・メルカリ等のフリマのトラブルで有効な"X線分析報告書"とは?」で詳しくご説明しています。
ヤフオク・メルカリ等のフリマのトラブルで有効な“X線分析報告書”とは?
結論|フリマのトラブル解決は「証拠の有無」で決まります ヤフオクやメルカリなどのフリマアサイトにおけるトラブルは、当事者同士の主張のぶつけ合いでは、解決しません。例えば、K18のネックレスを出品した出品者と、それを落札し […]
その後、お客様からいただいたご連絡
分析報告書を発行した後、お客様から、購入のキャンセル・返金になったとのご連絡をいただきました。報告書の提出先や、返金に至る詳しい経緯は確認していません。
同じ「Au750」刻印でも、相談の始まりは異なります
当ラボでは以前にも、「Au750」刻印のあるネックレスを分析した実績があります。
その品物は、他の店舗でメッキ製品と判断されたものの、X線分析によってK18相当の組成が確認されました。
今回とは相談に至った経緯が異なりますが、どちらも、外観やそれまでの説明だけで結論を出さず、現物の金属組成を確認した事例です。
同じ「Au750」刻印が入っていても、品物ごとに状態や相談の背景は異なります。刻印の表示と実際の組成が整合しているかを知りたい場合は、現物を測定して確認する方法があります。
刻印の表示と実際の組成を確認したい場合は
品物に入っている刻印の表示と、実際の金属組成が整合しているかを確認したい場合は、当ラボでお引き受けしています。
下記のお問い合わせフォームもしくはLINEから、お気軽にお問い合わせください。
投稿者プロフィール

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にじや質店X線ラボ 分析担当
株式会社クリエイティブファクトリー代表取締役。
にじや質店X線ラボにて、蛍光X線分析(XRF)を中心とした非破壊分析に取り組んでいます。
金・銀・プラチナなどの貴金属をはじめ、アクセサリー、金貨、地金、各種金属製品について、X線分析による元素組成・品位・材質の確認を行っています。
「見た目や刻印だけでは分からないものを、分析データで確認する。」
質屋・鑑定の実務経験と、X線分析・導電率測定・超音波測定・比重測定・顕微鏡観察などを組み合わせ、分析対象や目的に応じた評価に取り組んでいます。
なお、X線分析は試料表面付近の元素組成を調べる分析方法であり、分析結果だけですべての真贋や内部構造を断定できるものではありません。測定結果と各種情報を総合して評価することを重視しています。
■所属
・株式会社クリエイティブファクトリー 代表取締役
・にじや質店 代表鑑定士
・にじや質店X線ラボ 分析担当
■保有資格
・第一級陸上無線技術士
・電気主任技術者
・電気通信主任技術者
■経歴
1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内特許事務所にて特許出願業務に従事
1998年 創業、真空管輸入販売事業を開始
2000年 法人化
2013年 株式会社クリエイティブファクトリー設立
2014年 総合買取事業開始
2022年 にじや質店開業
2025年 にじや質店X線ラボ サービス開始
2026年 にじや相続評価 サービス開始
2026年 にじや分析ラボ開設
■専門・分析分野
・蛍光X線分析(XRF)
・金・銀・プラチナ等の貴金属分析
・金製品・金貨等の品位確認
・アクセサリー・金属製品の材質評価
・導電率測定
・超音波厚さ測定
・比重測定
・顕微鏡観察
・分析データを用いた真贋・材質評価
■主な分析・測定機器
・SPECTRO SCOUT
・島津製作所 EDX-7200
・VANTA Core V2CA
・SIGMASCOPE GOLD B/C
・超音波厚さ計 45MG
・比重計 GKS-3000
・実体顕微鏡/デジタルマイクロスコープ
■運営サイト
・にじや質店
https://nijiya-7ten.jp
・にじや質店X線ラボ
https://nijiya-xray.jp
・にじや分析ラボ
https://nijiya-lab.jp
・にじや相続評価
https://nijiya-souzoku.jp
・ヴィンテージサウンド
https://vintagesound.jp






