ネックレスやブレスレット、ハンドメイドアクセサリーの留め具に、「K18GF」「14KGF」といった表示を見かけたことはありませんか。
「K18」と付いているので、金そのものだと思われるかもしれません。
しかし、GFは「Gold Filled(ゴールドフィルド)=金張り」の略です。
金張りは、真鍮などの土台の表面に、金メッキよりも比較的厚い金合金の層を施した素材です。無垢の金製品ではなく、実務上は『少し厚い金メッキに近いもの』と捉えると分かりやすいでしょう。
では、金張りは金なのでしょうか。
X線分析にかければ、中身まで分かるのでしょうか。
この記事では、金張り(GF)とはどんな素材なのか、そしてX線分析でわかること・わからないことを、分かりやすくお話しします。

「K18GF」「14KGF」——この表示は金なの?
金張りは、金の質感を楽しめる比較的手に取りやすい素材として、輸入アクセサリーやハンドメイド作品の金具などに使われています。
「K18GF」「14KGF」という表示を見ると、金の一種のように思えます。
しかし、これらは無垢の金(K18やK14の製品)とは異なり、土台となる別の金属の上に金合金の層を張り合わせたものです。
表層側には金合金の層がありますが、その内側は真鍮などの土台でできています。
大切に使ってこられた品物も多く、「これは金なのか」「売るときはどう扱われるのか」と気になる方もいらっしゃると思います。
まずは、GFがどのような素材なのかを整理してみましょう。
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金張り(GF)と金メッキ(GP)、RGは何が違う?
金色の表面を持つ素材には、いくつかの種類があります。
金メッキ(GP)は、土台となる素材の表面に、金の皮膜を施したものです。
金張り(GF)は、土台の表面に金メッキよりも比較的厚い金合金の層を施したもので、表示のうえではGPと区別されています。
日本ジュエリー協会の表示規定では、これらは次のように定められています。
金張り(GF)は、張り合わせた金合金の質量比が20分の1以上のもの。
ロールドゴールド(RG)は、張り合わせた金合金の質量比が20分の1未満のもの。
ここでいう「20分の1」などの分数は、金の層の「厚み」ではなく、「材料の質量比」を表しています。

注意したいのは、「1/20 14KGF」といった表示の「14K」は、張り合わせた金合金の品位を示すものであって、製品全体が14金という意味ではない点です。
また、金メッキ(GP)と、イオンプレーティング(GIP)も、表示のうえでは区別されています。
同じ「金色の表面」でも、金の付き方や量によって、こうした呼び名の違いがあるということです。
参考情報・出典:
一般社団法人日本ジュエリー協会「ジュエリー及び貴金属製品の素材等の表示規定」(PDF)
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X線分析は「測定箇所の表層」を見る
では、金張りをX線分析にかけると、どう見えるのでしょうか。ここからは分析上の一般論として説明します。
なお、にじや質店では、通常の買取査定において、GF刻印のある品物はX線分析にかけず、金地金としての買取対象から除外しています。今回の記事では、GF製品の測定結果を確認するため、検証用の1点のみ例外的に分析しました。
蛍光X線分析は、測定箇所の表層側に含まれる元素を確認する方法です。
品物を削ったり溶かしたりする必要のない、非破壊の分析です。
一般論として金張り製品を測定すると、表面の金合金層の影響により、金(Au)の数値が高く出ることがあります。
しかし、それはあくまで"表層側の値"であって、品物全体の金の割合を表しているとは限りません。
内側に真鍮などの土台があっても、表層側の金合金の影響を強く受けた数値が出るためです。
つまり、X線分析の数値は、必ずしも品物全体の組成を表しているわけではありません。
金張りのような層構造の品物では、表面の測定値だけで製品全体の材質を判断できない点に注意が必要です。

一か所の測定値だけを見て、品物全体が同じ組成であると判断することはできない、ということです。
これは、無垢の金製品を測るときとは、数値の読み方が変わってくるということでもあります。
均質な金合金でできており、測定箇所にめっきや異なる素材が使われていなければ、測定値はその部分の組成を判断する目安になります。
ただし、無垢の製品であっても、X線で品物全体を一度に測定しているわけではありません。
一方、金張りのように層が分かれている品物では、表層側の数値と品物全体の組成を、より明確に分けて考える必要があります。
実測例|K18GF刻印のアクセサリーをSPECTRO SCOUTで分析
今回、記事制作の検証用として、「K18GF」の刻印があるアクセサリー1点をSPECTRO SCOUTで分析しました。これは通常の買取査定とは別に行った検証測定です。

測定箇所では、ニッケル(Ni)94.35%、亜鉛(Zn)5.40%が主成分として検出され、金(Au)は0.020%未満でした。

この結果は、少なくとも今回の測定箇所では、表面の金合金層よりもニッケルを主体とする下地層または基材の影響が強く表れたことを示しています。
金合金層の摩耗、層の薄さ、測定箇所の違い、あるいは刻印と実際の構造が一致していない可能性などが考えられます。
ただし、蛍光X線分析で確認できるのは測定した箇所の表層側です。この1回の結果だけで、製品全体の層構造や金の総量、刻印の真偽まで断定することはできません。今回の実測例からも、K18GFという刻印だけで金の検出量を予測したり、1か所の測定値だけで製品全体を判断したりできないことが分かります。
金張りは、まず刻印で確認する
金張りかどうかを確認する際は、まず「GF」「1/20 14KGF」などの刻印を確認します。にじや質店では、通常の買取査定において、GF刻印のある品物を無垢の金製品として扱わず、X線分析にはかけずに買取対象から除外しています。
刻印がなく、外観だけでは判断しにくい品物では、摩耗して土台が見えている部分、端面、留め具なども手がかりになります。
ただし、蛍光X線分析は表層側を見るため、表面の金合金層が比較的厚く全面を覆っている場合、非破壊分析だけで無垢材と金張りを明確に区別できないことがあります。
そのため、X線の数値だけで『無垢の金である』と判断せず、刻印、外観、摩耗状態、構造、重量などを総合して確認することが大切です。

金張り製品は買取してもらえる?
金張り製品は、無垢の金地金とは別の扱いになります。
表層側に金合金の層はありますが、地金として取り出せる金の量は、無垢の金製品とは異なります。
一方で、ブランドやデザイン、製品としての価値が考慮される場合もあります。
買取店によって取扱基準は異なりますが、にじや質店では、GF刻印のある品物は買取対象外としています。
ブランド品やデザイン性の高い製品は中古品として評価される場合もありますが、金地金としての買取とは区別して考える必要があります。
表示と数値が気になる方へ
「K18GF」「14KGF」などの刻印は、製品全体がK18やK14でできていることを示すものではありません。GF刻印品は、にじや質店の通常の買取査定では、X線分析および金地金としての買取の対象外です。
刻印のない品物や、無垢の金か金メッキか分からない品物については、刻印、外観、比重、構造、X線分析結果などを総合して確認します。
ただし、非破壊のX線分析には限界があり、表面の状態によっては内部まで断定できない場合があります。
GF刻印のない品物について分析をご希望の場合は、品物の状態と確認したい内容を事前にお知らせください。
遠方の方は、郵送によるX線分析もご利用いただけます。
X線分析申し込みフォーム|金・銀・プラチナ分析|全国対応・翌営業日発送 | 金・銀・プラチナ等の非破壊X線分析|1箇所1,100円(税込)から|全国対応・翌営業日発送
🚫 重要なお知らせ(必ずご確認ください) 金インゴット(延べ棒)やプラチナインゴット、それらに類する製品のX線分析は 安全上の理由により通常メニューでは受付しておりません。 表面のみ本物で内部にタングステン等を使用した偽造リスクがあるため、 通常のX線分析では正確な判定が困難となる場合があります。 そのため、インゴット分析をご希望の方は、専用サービスをご利用ください。 👉
投稿者プロフィール

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現役質屋の鑑定士で、非破壊検査(X線分析・導電率・超音波等)を用いた
貴金属・宝石の真贋鑑定および分析の専門家。
「見た目では分からない本質を、科学の目で見抜く」を信条に、
金インゴット・宝飾品・時計などの鑑定と分析を日々の業務として取り組む。
東京都青梅市在住
株式会社クリエイティブファクトリー 代表取締役
■保有資格
・第1級陸上無線技術士
・電気主任技術者
・電気通信主任技術者
■経歴
1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内特許事務所にて特許出願業務に従事
1998年 創業、真空管輸入販売事業を開始
2000年 法人化
2013年 株式会社クリエイティブファクトリー設立
2014年 総合買取事業開始
2022年 にじや質店 竣工
2025年 にじや質店X線ラボ サービス開始
2026年 にじや相続評価 サービス開始
■専門分野
・金インゴットの真贋判定
・貴金属の非破壊分析
・宝石・時計の評価
・偽物・メッキ判別
・真空管
■運営サイト
・にじや質店
https://nijiya-7ten.jp
・にじや質店X線ラボ
https://nijiya-xray.jp
・にじや相続評価
https://nijiya-souzoku.jp
・ヴィンテージサウンド
https://vintagesound.jp









