シルバーアクセサリーや銀の食器をお持ちの方で、内側に打たれた「925」「Sterling」「SV925」といった刻印の意味を、しっかりとご存じでしょうか。
一見すると同じように見える表記でも、含まれている金属の種類や決まりには違いがあります。
本記事では、銀製品の純度を表す刻印の読み方と、信頼できる銀製品を見分ける方法について、わかりやすく整理してお伝えいたします。

銀の純度を表す「925」という数字の意味
銀の純度は、世界共通で「全体を1000としたときに銀がどれだけ入っているか」という形で表されます。
「925」という数字は、製品全体のうち銀が92.5パーセント入っていることを示していて、残りの7.5パーセントは別の金属が混ぜられている状態になります。
純粋な銀のままではやわらかすぎてアクセサリーに加工しにくいため、銅などを少し混ぜて、しっかりした強さを持たせているわけです。
日本の造幣局でも銀製品の品位を証明する区分があり、純度の高い順に999・950・925・900・800の5つが設けられています。
千分率で表す方法は、国際規格にも沿った世界共通のものです。
また造幣局の品位証明では、2012年4月以降、純金属の表示を従来の「1000」から「999」に変更しました。
造幣局の証明を受けた製品で、2012年より前に「1000」と刻まれているものは、現在の「999」と証明している品位は同じです。
参考:独立行政法人造幣局 https://www.mint.go.jp/
参考:日本産業標準調査会(JIS) https://www.jisc.go.jp/

シルバー925とスターリングシルバーの違い
ここで知っておきたいのが「シルバー925」と「スターリングシルバー」の違いです。
日本ジュエリー協会の基準では、シルバー925に混ぜる金属は、銅以外のもの(鉛、アルミニウム、ニッケルなど)が入っていても問題ないとされています。
一方、スターリングシルバーは混ぜる金属が「銅だけ」と決まっていて、銅だけを混ぜた合金は、時間がたつとさらに硬くなる優れた性質を持っています。
そのため刻印が「Sterling」または「Sterling925」と打たれている製品は、一般的にニッケルを含まないため金属アレルギーが起こりにくく、色味も明るめになる傾向があります。
ただし、刻印だけで混ぜられている金属を完全に判断できるわけではありません。
参考:一般社団法人日本ジュエリー協会 https://jja.ne.jp/
名称の由来と「銀色だけど銀ではない」製品の落とし穴
スターリングという名前の由来にはいくつかの説がありますが、12世紀のイングランド王ヘンリー2世の時代(1154年から1189年)に持ち込まれた「イースターリング」と呼ばれる、ドイツ東部の硬貨に由来するという説がよく知られています。
それ以来、スターリングという言葉は「本物の」「信頼できる」という意味で使われるようになりました。
なお、銀色をしているからといって本物の銀とは限らない点には注意が必要です。
「EPNS」は、ニッケルシルバーなどの地金に銀メッキを施した製品を、「SP」(シルバープレート)は銀メッキ品を表します。
一方「ニッケルシルバー」は、名前に「シルバー」とありますが、実際には銀を含まない銅・ニッケル・亜鉛系の銀色の合金です。いずれも、シルバー925やスターリングシルバーとは別物です。
見た目だけでは本物の銀と区別がつきにくいため、刻印の確認がとても大切です。
「これは本物の銀?」と不安に感じたときのチェックポイント

お客様から「これ、本当に銀ですか?」とご相談をいただく際には、色・重さ・刻印の3つの観点からまずチェックしてみることをおすすめしています。それぞれのポイントを詳しくご説明します。
色で見分ける
SV925は、やや黒みがかった「いぶし銀」の色をしています。この独特の色合いが正規品の目安のひとつです。
一方、変に青みがかっていたり、黄色みがかっているものは、偽物の可能性があるため要注意です。

重さで見分ける
SV925は比重10.4のため、持った感じがずっしり来ます。
偽物はかなり軽めに感じることが多く、慣れてくると色と重さだけである程度の判別がつくようになります。
刻印で見分ける
刻印に「925」が打ってあっても偽物が多いのが銀製品の特徴です。
金やプラチナと比べて格安にもかかわらず偽物が多いのは意外ですが、以下の刻印には特に注意が必要です。
| 刻印 | 意味・特徴 | 銀の含有 | 取引可否 |
| 925 / SV925 | 銀が92.5%含まれる正規の刻印。 | 92.5% | ○ |
| SILVER | 銀が含まれることを示すが含有率が不明。1%でも要件を満たすため注意が必要。 | 不明 | △ |
| SILVAR | SILVERの誤表記・類似表記。含有率が不明。偽物も多い。 | 不明 | △ |
| SILVER.G | メッキ製品を示す刻印。取引不可。 | 表面のみ | × |
| 足銀 | 90%以上の銀を含む場合もあるが、メッキ製品も存在する。 | 不定 | △ |
| 洋銀 | 銀を含まないニッケルと亜鉛の合金。「銀」の名前があるが銀は入っていない。 | なし | × |
| NICKEL SILVER | ニッケルが主体の合金。銀は含まれていない。 | なし | × |
| EPNS | ニッケルシルバーへの銀メッキ品(Electro Plated Nickel Silver)。 | 表面のみ | × |
| SP | 銀メッキ品(Silver Plate)。 | 表面のみ | × |
いずれにしても、銀製品の刻印は偽物が多く、X線分析で成分をしっかりと確認することが重要です。
「銀だと思っていたら違った」お品物の例
実際にご相談をいただくなかで「銀だと思っていたら違った」というケースは少なくありません。
特に注意が必要なお品物としては、銀色っぽいトロフィー、海外製の銀食器、観光地で購入したシルバーアクセサリー、露天で販売されている自作銀リングなどが挙げられます。
見た目ではなかなか判断がつかないため、気になる場合はぜひお気軽にご相談ください。
確実に素材を確認する方法と日常のケア
ただし、刻印があっても素材が表記どおりとは限らない場合もあります。
海外製の製品や、骨董市場で出回っている古い製品の中には、刻印が偽造されているもの、思っていたものと中身がちがうものが含まれることもあります。
確実に確認したい場合は、専門のお店で品物を傷つけずに調べる検査が、もっとも信頼できる方法になります。

ところで、銀製品は「変色しやすい」という特徴で知られています。
これは、空気中の硫黄の成分と銀が反応して、黒い物質ができる現象のことで、決して品質が悪いわけではありません。
この変色には、銀そのものだけでなく、混ぜられている銅などの金属の反応も関わります。
混ぜる金属の種類や使う環境によって変色のしやすさは変わり、汗や湿気、温泉の成分、塩分、化粧品などに触れると黒ずみが進みやすくなります。
また、シルバー製品が本物かどうかを簡単に確認する方法として、磁石にくっつくかどうかを見るテストがあります。
本物の銀はほとんど磁石に反応しませんが、ステンレスやニッケルが入ったメッキ製品は、磁石が引き寄せられる場合があります。ただ、この方法はあくまで目安に過ぎず、確実な判定にはなりません。
お手元の銀製品の素材で気になる点がございましたら、まずはにじや質店X線ラボのLINEでお気軽にご相談ください。
投稿者プロフィール

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現役質屋の鑑定士で、非破壊検査(X線分析・導電率・超音波等)を用いた
貴金属・宝石の真贋鑑定および分析の専門家。
「見た目では分からない本質を、科学の目で見抜く」を信条に、
金インゴット・宝飾品・時計などの鑑定と分析を日々の業務として取り組む。
東京都青梅市在住
株式会社クリエイティブファクトリー 代表取締役
■保有資格
・第1級陸上無線技術士
・電気主任技術者
・電気通信主任技術者
■経歴
1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内特許事務所にて特許出願業務に従事
1998年 創業、真空管輸入販売事業を開始
2000年 法人化
2013年 株式会社クリエイティブファクトリー設立
2014年 総合買取事業開始
2022年 にじや質店 竣工
2025年 にじや質店X線ラボ サービス開始
2026年 にじや相続評価 サービス開始
■専門分野
・金インゴットの真贋判定
・貴金属の非破壊分析
・宝石・時計の評価
・偽物・メッキ判別
・真空管
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