海外旅行や出張先で購入した指輪やネックレス、あるいは海外赴任をしていた親から譲り受けたジュエリー。
帰国後に内側の刻印を見てみると、「750」「18CT」「585」など、日本ではあまり見慣れない表示が入っていることがあります。
「K18と書いていないから模倣品なのでは?」と不安になり、そのまま引き出しにしまい込んでいる方は少なくありません。
しかし、海外の貴金属は国によって純度の表し方やホールマーク制度が大きく異なります。読めない刻印だからといって模倣品とは限りませんし、刻印があるからといって、その内容をそのまま信じてよいとも限りません。

「K18」と「750」は同じ意味
日本では、金の純度を「K18」「K14」のように24分率で表すのが一般的です。一方、ヨーロッパを中心に海外で広く使われているのが千分率による表記です。
全体を1000としたときに金がどれだけ含まれているかを数字で示す方法で、たとえば次のように読みます。
750=金75%=K18相当、585=金58.5%=K14相当、375=金37.5%=K9相当、916=金91.6%=K22相当、999=ほぼ純金=K24相当です。
つまり、指輪の内側に「750」と刻印されていれば、それはK18と同等の純度を示す表記です。
イギリスなど英語圏では「18CT」「9CT」のようにカラットを意味する「CT」が使われることもあります。日本式の刻印に慣れていると戸惑いやすいですが、書き方が違うだけで模倣品ではないケースが多くあります。

国によって違うホールマーク制度
貴金属の品質を証明する刻印制度も、国によって運用が異なります。
日本には造幣局による品位証明制度がありますが、これは任意です。
造幣局の検定を受けた製品にはホールマークが打刻されますが、すべての製品に入っているわけではありません。
イギリスでは、一定重量を超える貴金属製品について、販売時にホールマークが必要とされる制度があります。検定所マークや品位記号が組み合わされた独自の刻印体系です。
フランスやイタリアにも国ごとの公的マーク制度があり、鷲の頭や工房番号など、それぞれ異なる記号が使われています。
東南アジアや中東では事情がまた異なります。
ドバイなど中東地域ではK22やK24など高純度の金が広く流通していますが、日本式の刻印が入っていないケースは珍しくありません。見慣れないマークがある、あるいは刻印そのものがないからといって、模倣品と決めつけることはできないのです。

(参考情報・出典)
造幣局:貴金属製品の品位証明
造幣局:貴金属製品の品位区分と証明記号
Birmingham Assay Office: Hallmarking
刻印が読めても「刻印通り」とは限らない
一方で、刻印の意味が分かれば安心というわけでもありません。
貴金属の刻印は製造者や販売者が打つものであり、偽造される可能性は海外製品でも日本製品でも同じです。
特に注意したいのが、留め具にはK18や750の刻印があるのにチェーン本体は別素材だった、というように複数の素材が組み合わされたケースです。留め具だけを見て判断してしまうと、品物全体の素材を見誤ることがあります。
また、刻印がない海外製品を「メッキ」と安易に断定するのも危険です。
鑑定士に聞く|海外製の貴金属でよくあるご質問
Q.海外で購入された貴金属が持ち込まれることはありますか。他店で「刻印がないからメッキ」と言われた品物が、実はX線分析で高純度だったという事例はありますか?
海外で購入された貴金属や、海外製と思われる品物が持ち込まれることは、実際によくあります。イタリア、ハワイ、台湾、中国、エジプトなど、さまざまな国の製品を拝見します。
海外製の場合、日本で一般的な「K18」や「Pt900」といった刻印とは異なる表記が使われていたり、刻印そのものが確認できなかったりすることがあります。そのため当ラボでは、見慣れない刻印や刻印の有無だけで材質を判断せず、X線分析によって測定箇所に含まれる元素とその含有割合を確認しています。
「他店で刻印がないためメッキと言われた海外製品を分析したところ、実際には高純度の貴金属だった」という事例は、決して珍しくありません。特に東南アジアの金は、純度が高いにもかかわらず刻印が入っていないものが多く、注意が必要です。
もし買取店でメッキ扱いされてしまった場合は、処分を決めてしまう前に、セカンドオピニオンとしてX線分析を受けてみることをおすすめします。

Q.海外製の貴金属を見るとき、日本製と比べて特に注意して確認するポイントはありますか?
海外製の貴金属を確認する際、特に注意しているのは、刻印の表記方法、品物の構造、そして測定する箇所です。
まず、海外製品には日本とは異なる品位表示やホールマークが使われていることがあるため、刻印の内容や意味を確認します。
次に、ネックレスやブレスレットでは、チェーン本体、引き輪、プレートなどに異なる材料が使われている場合があります。そのため一箇所の測定結果だけで品物全体の材質を判断せず、必要に応じて複数の箇所を測定することが大切です。
さらに、X線分析は主に表面付近の元素を分析する方法であるため、メッキや表面処理の可能性についても考慮する必要があります。
当ラボでは、刻印や外観だけで判断するのではなく、X線分析による元素と含有割合の測定を基本としながら、必要に応じて比重測定、導電率測定、超音波厚さ測定といった異なる方法を組み合わせ、総合的に評価しています。
まとめ 刻印が読めなくても、素材は確認できる
海外で買った貴金属は、刻印の表記方法が日本と違うだけで、十分な価値を持つ場合があります。
「読めない」「見慣れない」という理由だけで処分を決めてしまうのは、もったいないことかもしれません。
気になる品物がありましたら、にじや質店X線ラボのLINEでお気軽にご相談ください。写真をお送りいただければ、分析が可能かどうかをご案内いたします。
投稿者プロフィール

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現役質屋の鑑定士で、非破壊検査(X線分析・導電率・超音波等)を用いた
貴金属・宝石の真贋鑑定および分析の専門家。
「見た目では分からない本質を、科学の目で見抜く」を信条に、
金インゴット・宝飾品・時計などの鑑定と分析を日々の業務として取り組む。
東京都青梅市在住
株式会社クリエイティブファクトリー 代表取締役
■保有資格
・第1級陸上無線技術士
・電気主任技術者
・電気通信主任技術者
■経歴
1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内特許事務所にて特許出願業務に従事
1998年 創業、真空管輸入販売事業を開始
2000年 法人化
2013年 株式会社クリエイティブファクトリー設立
2014年 総合買取事業開始
2022年 にじや質店 竣工
2025年 にじや質店X線ラボ サービス開始
2026年 にじや相続評価 サービス開始
■専門分野
・金インゴットの真贋判定
・貴金属の非破壊分析
・宝石・時計の評価
・偽物・メッキ判別
・真空管
■運営サイト
・にじや質店
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