実家の片付けや遺品整理をしていると、古い指輪やネックレスが出て来て、「もしかしたら価値があるかも…」と査定に出す方が多いものです。

しかし、引き出しの奥から出てきた金色の耳かき、変色したネクタイピン、ホコリを被った金杯はどうでしょうか。

「アクセサリーじゃないから、ただのメッキだろう」と思い込んで、よく確認しないまま処分してしまうケースは少なくありません。

貴金属が使われている品物は、指輪やネックレスだけではありません。

この記事では、ジュエリー以外で貴金属が使われている可能性のある品物や、自己判断で処分するリスク、X線分析で素材を確認する方法について解説します。

意外と多い「ジュエリー以外の貴金属」

昭和から平成初期にかけて、日本では金や銀を「贈答品」や「記念品」の素材として使う文化が根付いていました。

会社の勤続表彰、創立記念、退職祝い、還暦の贈り物など、節目のたびに金色・銀色の品物が贈られた時代です。

たとえば、次のような品物に金や銀が使われていることがあります。耳かき、カフスボタン、ネクタイピン、金杯・銀杯、万年筆のペン先、ライターの外装、表彰メダルや社章、勲章・褒章関連の小物などです。

特にカフスやネクタイピンは、男性の持ち物として遺品整理で見つかりやすい品目です。

デザインが古いために「今さら使えない」と判断されがちですが、裏面にK18やK14の刻印が打たれている品物も珍しくはありません。

万年筆のペン先に「14K」「18K」「750」などの表示があれば、金を含む可能性を考える手がかりになります。

もちろん、金色に見えるものすべてが金製品というわけではありません。メッキ、真鍮、ステンレス、合金で作られたものも多くあります。

大切なのは「アクセサリーではないから価値がない」と決めつけないことです。

刻印がある場合・ない場合で判断が変わる

貴金属かどうかを判断する手がかりのひとつが刻印です。

金なら「K18」「585」、銀なら「SILVER」「925」、プラチナなら「Pt900」「Pt950」などの表示です。

ただし、小物はジュエリーに比べて刻印を打てるスペースが限られています。

カフスの裏側、耳かきの持ち手、万年筆のペン先など、ごく小さな場所に打たれていることもあれば、長年の使用で摩耗して読み取れなくなっていることもあります。

そのため「刻印が見つからないから貴金属ではない」と判断するのは非常にもったいないことです。

古い時代の特注品や海外製品には、そもそも刻印を省略しているものがあります。

逆に、刻印があっても後から打ち直されている可能性があるため、刻印だけで素材を断定することもできません。

入手経路が分からない遺品や、古い記念品ほど、見た目や刻印だけで判断せず、素材そのものを確認することが必要です。

鑑定士の現場から

ここでは実際にX線ラボに持ち込まれる品物や、現場で経験した事例をご紹介します。

ジュエリー以外では、金杯・銀杯、カフスボタン、ネクタイピン、万年筆、ライター、メダル、記念品、ゴルフコンペのトロフィーなどが分析に持ち込まれます。

多いのは、実家の片付けや遺品整理で見つかった品物についてのご相談で、「金色をしているけれど材質が分からない」「刻印がないので貴金属かどうか確認したい」といった内容です。

なかには、持ち込み方に少し気を付けていただきたい品物もあります。たとえば万年筆です。モンブラン、パーカー、ペリカンといった有名ブランドの万年筆は、ペン先だけよりも、万年筆全体として査定したほうが高くなることがほとんどです。

ご自身の判断でペン先だけを抜いて持ってこられる方がいらっしゃいますが、これはおすすめできません。査定額が高くなるように鑑定士が仕分けをしますので、万年筆は丸ごとお持ちいただければと思います。

金杯も、見た目だけでは判断が難しい品物です。金杯のほとんどは「24KGP」と刻印されたメッキ品ですが、なかには「純金」や「1000」と刻印された純金製のものが混ざっています。

実際に、金メッキだと思われていた金杯が、分析してみると純金で、100万円以上の価値になった例が年に数点あります。

一方、銀杯は純銀であることが多く、バブル期に作られたトロフィーも純銀製が少なくありません。銀の価格が高い今では、ご自宅にあったトロフィーをまとめてお持ちいただき、10本で合計30万円になった例もありました。

もちろん、金色をしていても、分析してみると真鍮などの合金や金メッキだった、というケースもあります。

だからこそ、外観や刻印だけで思い込まず、X線分析で実際に含まれている元素を確認することに意味があると考えています。

小さい品物や変わった形状でもX線分析はできるか

X線分析は、品物の表面にX線を照射し、発生する蛍光X線を測定することで、含まれている元素の種類や含有割合を確認する分析方法です。

当ラボでは、品物の大きさや形状、測定箇所に応じて、測定径を選択して分析を行っています。

品物を削ったり溶かしたりする必要がなく、大切な遺品や記念品の確認にも向いています。

耳かき、カフス、ネクタイピン、金杯、記念メダルなども、測定できる平らな面が、目安として直径1ミリほど確保できれば、分析の対象になります。

ただし、極端に小さい部品や曲面が強いもの、複雑な装飾が施されたものは、測定が難しいケースもあります。

また、X線分析は主に表面付近の成分を確認する方法です。

表面と内部で素材が異なる可能性がある品物では、外観や重量に加えて、刻印、比重、導電率といった別の方法も組み合わせ、総合的に判断することが大切です。

「この小物も調べられるのかな」と迷った場合は、まずスマートフォンで写真を撮ってLINEでお送りください。分析できそうかどうかをご案内いたします。

まとめ 「アクセサリーじゃないから」で処分する前に

貴金属は、指輪やネックレスだけに使われているものではありません。

金色・銀色の小物が出てきたら、「古い記念品だから」「刻印が見えないから」という理由で手放す前に、まず素材を確認することです。

気になる品物がありましたら、にじや質店X線ラボのLINEでお気軽にご相談ください。

写真をお送りいただくだけでも、モヤモヤを解消するお手伝いができます。

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  にじや質店(東京都青梅市野上町)
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投稿者プロフィール

代表鑑定士 佐々木 英明
代表鑑定士 佐々木 英明
現役質屋の鑑定士で、非破壊検査(X線分析・導電率・超音波等)を用いた
貴金属・宝石の真贋鑑定および分析の専門家。

「見た目では分からない本質を、科学の目で見抜く」を信条に、
金インゴット・宝飾品・時計などの鑑定と分析を日々の業務として取り組む。

東京都青梅市在住
株式会社クリエイティブファクトリー 代表取締役

■保有資格
・第1級陸上無線技術士
・電気主任技術者
・電気通信主任技術者

■経歴
1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内特許事務所にて特許出願業務に従事
1998年 創業、真空管輸入販売事業を開始
2000年 法人化
2013年 株式会社クリエイティブファクトリー設立
2014年 総合買取事業開始
2022年 にじや質店 竣工
2025年 にじや質店X線ラボ サービス開始
2026年 にじや相続評価 サービス開始

■専門分野
・金インゴットの真贋判定
・貴金属の非破壊分析
・宝石・時計の評価
・偽物・メッキ判別
・真空管

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