結婚指輪の内側に刻まれた「Pt900」「Pt950」の文字。
普段はあまり意識しないかもしれませんが、この刻印はプラチナの純度を示す大切な情報です。

一方で、古い指輪やご家族から受け継いだ指輪の中には、「Pm」という見慣れない刻印が入っているものがあります。
「Pt」ではないから、プラチナではないのだろうか。そう思って処分してしまう方もいますが、実はPmはかつてプラチナを表す刻印として使われていたものです。
ただし、Pm刻印の製品は現在のPt製品とは品位の考え方が異なり、実際のプラチナ含有量にはばらつきがあります。
この記事では、結婚指輪に多いPt900・Pt950と旧刻印Pmの違いを整理し、刻印だけで判断できないプラチナの品位について、鑑定の現場からお伝えします。
一般的な結婚指輪に多いPt900・Pt950
結婚指輪に使われるプラチナは、Pt900(純度90%)とPt950(純度95%)が主流です。
残りの数%〜10%には、パラジウムやルテニウムといった金属が割金として混ぜられています。
これはプラチナに適度な硬さを持たせ、日常使いに耐えられる強度を出すためです。
純プラチナ(Pt999)は非常に柔らかいため、結婚指輪のように毎日身につけるものには、変形しやすいという理由であまり使われません。
Pt900は日本国内でもっとも多く流通している結婚指輪の素材です。
Pt950はここ数年で増えてきた純度で、海外の高級ブランドでも採用が広がっています。

いずれも造幣局のホールマーク(日の丸とひし形の刻印)が入っている場合は、公的に品位が証明されています。
長年、質屋・買取の現場で多くのプラチナ結婚指輪を見てきましたが、Pt900・Pt950の刻印がある製品について、X線分析の結果が刻印と大きく異なっていた事例は特にありません。
つまり、現行のPt刻印がある結婚指輪は、基本的には刻印を信頼してよいといえます。
旧刻印「Pm」とは何か
「Pm」は、1960年代頃まで日本でプラチナを表す刻印として使われていた旧表記です。「Platinum Metal」の略に由来するとされ、当時のプラチナ製品に広く打刻されていました。
その後、元素記号が同じ「Pm」を持つプロメチウムという放射性元素との混同を避けるため、プラチナの表記は「Pt」に統一されました。
つまり、Pm刻印がある製品は少なくとも60年以上前のヴィンテージ品であるということになります。
結婚指輪だけでなく、ネックレス、ブローチ、帯留めなど、昭和初期から中期にかけて作られたさまざまなジュエリーにPm刻印が見られます。
ご家族から受け継いだ指輪やジュエリーの内側にPmと書かれていた場合、それは「プラチナではない」のではなく、「古い時代のプラチナ表記である」と理解してください。
Pm刻印のプラチナ含有量にはなぜ注意が必要なのか
Pm刻印がプラチナを意味するものであっても、現在のPt刻印と同じ感覚で品位を判断することは難しいのが実情です。その最大の理由は、当時の品質管理基準が現在ほど厳密ではなかったことにあります。
現在のPt900やPt950は、刻印された数字の通りのプラチナ含有率があることを前提に製造・流通しています。
一方、Pm刻印の時代は、プラチナを少しでも使用していれば「Pm」と打刻することが可能でした。
そのため、Pm刻印の製品のプラチナ含有量には大きなばらつきがあります。

実際に当店でPm刻印の製品をX線分析してきた経験では、プラチナの含有量は0%から90%まで、非常に幅が大きいことが分かっています。
Pm刻印があるからといって、Pt900やPt850と同等のプラチナが含まれているとは限りません。
中にはプラチナがまったく検出されないケースもあり、刻印の表記だけで品位を判断することがいかに難しいかが分かります。
「Pm850」「Pm900」のように数字が併記されている場合でも、表記通りの純度がある保証はなく、実際には表記より低い含有率であることも珍しくありません。
また、Pm刻印と紛らわしいものとして「SPM」や「Sun Platinum」という刻印があります。これはサンプラチナと呼ばれる合金で、ニッケルとクロムを主成分としており、プラチナは一切含まれていません。
見た目はプラチナに似た白い輝きを持っていますが、貴金属としての価値はありません。
Pmとの違いを知らずに混同してしまうこともあるため、刻印の確認には注意が必要です。
刻印だけで判断せず、X線分析で実際の成分を確認する意味
Pt900・Pt950の刻印がある現行の結婚指輪は、基本的に刻印通りの品位であることが多く、分析結果とのずれはほとんどありません。
一方、Pm刻印の製品は、刻印だけでは実際のプラチナ含有量を判断できないケースがあります。これは製品が古いからという理由だけでなく、当時の品質管理体制と現在の基準が異なるためです。
お手元にPm刻印の指輪やジュエリーがある場合、蛍光X線分析(XRF)で実際の成分を確認することで、どのくらいのプラチナが含まれているかを数値として把握することができます。

分析によって、Pt900相当の含有率が確認できることもあれば、プラチナがほとんど含まれていないという結果になることもあります。
いずれにしても、客観的な数値があることで、売却・相続・保管の判断がしやすくなります。
にじや質店X線ラボでは、品物を傷つけない非破壊分析でプラチナやその他の含有元素を数値化し、お客様にお伝えしています。
刻印が読めない場合、PmなのかPtなのか判別できない場合にも対応しておりますので、迷われた際はまずご相談ください。
まずはお気軽にご相談ください
結婚指輪や婚約指輪の素材について、普段は気にすることがないかもしれません。
しかし、相続や売却、アレルギーの不安が生じたときに、刻印の意味が分からない、古い製品で品位が確認できない、という場面は意外と多いものです。
Pm刻印の製品はもちろん、刻印が消えかけている製品、そもそも刻印がない製品についても、X線分析で成分を確認することは可能です。
お手元のジュエリーについて気になることがあれば、まずはLINEからご相談ください。
写真をお送りいただければ、分析が必要かどうかの見通しをお伝えすることもできます。
投稿者プロフィール

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現役質屋の鑑定士で、非破壊検査(X線分析・導電率・超音波等)を用いた
貴金属・宝石の真贋鑑定および分析の専門家。
「見た目では分からない本質を、科学の目で見抜く」を信条に、
金インゴット・宝飾品・時計などの鑑定と分析を日々の業務として取り組む。
東京都青梅市在住
株式会社クリエイティブファクトリー 代表取締役
■保有資格
・第1級陸上無線技術士
・電気主任技術者
・電気通信主任技術者
■経歴
1991年 株式会社リクルート入社
1994年 都内特許事務所にて特許出願業務に従事
1998年 創業、真空管輸入販売事業を開始
2000年 法人化
2013年 株式会社クリエイティブファクトリー設立
2014年 総合買取事業開始
2022年 にじや質店 竣工
2025年 にじや質店X線ラボ サービス開始
2026年 にじや相続評価 サービス開始
■専門分野
・金インゴットの真贋判定
・貴金属の非破壊分析
・宝石・時計の評価
・偽物・メッキ判別
・真空管
■運営サイト
・にじや質店
https://nijiya-7ten.jp
・にじや質店X線ラボ
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・にじや相続評価
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